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ローパスフィルター



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ローパスフィルターとはCCDやCMOSなどの撮像素子の前面に取り付けられているもので、偽色やモアレを低減させるものです。
偽色とは、格子状に並んだ画素の上に、一定のパターンでRGB(レッド、グリーン、ブルー)のフィルタが並んでいて、それぞれの画素は、レッド成分かグリーン成分かブルー成分の色情報しか取れないので、フルカラーの情報を得るには周辺の情報からある決まった計算をして補う処理をしなければなりません。しかし、生地のような細かいしま模様を撮影したときには補間しきれず、実在しない色が現れてしまうのです。これは、生地の布目のピッチ(間隔)がセンサの画素ピッチに近い時に発生しやすいようです。
モアレとはデジタルカメラや印刷された画像で、規則正しい細かな模様があると、画素同士が干渉して実在しない模様が現れてしまうことがあります。これを干渉縞、またはモアレと呼びます。偽色と同様に規則正しく並んだ撮像素子が要因となって発生します。

 これらの現象を防ぐために、偽色やモアレの原因となる細かい模様を、撮像素子に入ってくる前にぼかしてしまおうと考えたのです。このぼかす役割を担っているのがローパスフィルターというわけです。ローパスフィルターは何層かに分かれた構造で、撮像素子の性能と同時にローパスフィルターの構造が、画質に大きな影響を及ぼします。各社は解像度(鮮明さ)を下げずにいかに偽色やモアレを抑えるか、開発を進めています。


偽色が発生しない撮像素子


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偽色が発生しない撮像素子としてFOVEON X3が挙げられます。FOVEON X3はCMOSイメージセンサの一種で、光の三原色である赤 (R)・緑 (G)・青 (B)がシリコンを透過する特性が異なることを利用して、素子の厚み方向 (光が入射する方向) に3層にセンサを配置しています。カラーフィルム(各層の間に色フィルタがある)と同様に、同一位置の異なる色の情報を分離できるのです。
3層のセンサのうち第1層(最上層)はRGBのすべての光の強さに反応します。第2層以深には波長が短いBの光は到達しないため、Bの要素を除くRGの光の強さに反応します。同様に第3層(最下層)では第2層までで吸収されたBGを除くRの光の強さに反応します。画像処理エンジンでは、最下層で取り込んだRの値を中層で取り込んだRGの値から引いてGの値を求め、最上層の値からRとGの値を引いてBの値を求めるのです。
また、FOVEON X3 イメージセンサでは、3原色それぞれのセンサが同じ位置に配置されているため、原理的に偽色は発生しません。




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